支え愛:ＳＡＳＡＥＡＩ 自棄乗り越え自立の道 ／高知
毎日新聞 2012年10月31日 地方版
父親は暴力がひどく、お酒が入ると手がつけられません。
母親は、中学生の息子を連れて家を出ました。
しかし、すぐに見つかってしまい、路上で殴られ押さえつけられているところを知人が助けてくれました。
父親は逮捕されましたが、拘置中も「殺してやる」とわめき散らし、安全のために県外へ逃げました。
見知らぬ土地で母親は懸命に働きました。
息子は学校になじめず、いじめのターゲットとなり、学校に行かなくなります。
不登校のまま中学を卒業し高校に進学しましたが、そこにいじめっ子がやって来てあらぬことを吹き込み、他の生徒を巻き込んでいじめが続きます。
耐えかねて突き飛ばした相手がけがをしてしまい、学校は警察を呼び、高校を退学させられた上、保護観察になってしまいます。
それでも彼は通信教育で高校卒業の資格を取り、ヘルパー２級の資格も取って仕事を頑張っていました。
ところが出勤途中にいじめっ子に再会します。
毎朝の電車に乗って来て嫌がらせをします。
仕事に行けなくなり引き籠もってしまいました。
母親は「そんなことでは社会でやっていけない。いつまでもこだわっていないで仕事に行きなさい」と言います。
母親にも理解してもらえず、心の傷は深くなるばかり。「ここにいたら、あいつらを殺してしまいたいという気持ちを抑えられない。遠くに行きたい」と
訴えるので、「いつでもいいから『あいあい』においで」と彼を預かることを提案しました。
迷惑をかけてはいけないと、母親は息子に働いて少しお金をためてから行くように言い、彼はそれに従い仕事に通い始めます。
しかし、そこにもいじめっ子が来て、また仕事に行けなくなりました。
仕事に行っているように見せ、昼は家で過ごしました。
それを知った母は息子をなじります。
息子は「二度と帰らない」と家を飛び出して電話してきました。
「そちらには行けなくなった。行きたかったけどもう何もかも終わりにする」と言います。
「あいつらがいると自分と同じ思いをする犠牲者が出る。自分が死ぬ前に殺すしかない」
「そんなことをしたらお母さんはどうなるの？」というと「母親を殺して自分も死ぬ。誰にも迷惑かけないよう自分だけ死ねばいい」と言います。
「誰にも迷惑をかけずに自殺できると思うの？ 同じような思いをしてる子にも影響を与えるよ。死ぬしかないんだという絶望を与えるんだよ。
他にも犠牲が出るからあいつらを殺してやりたいという気持ちは、同じような子を作りたくないんでしょう？ だったらあなたにもできることがあるよ。
『あいあい』にいらっしゃい」と電話を切りました。
２日後に母親から電話があり、こちらに来ることになりました。
会ってみると素直ないい青年です。
仕事に就いて自立したいというので、紹介状を持って面接に臨みました。
くじけそうになりながらも懸命にトライしていたある日、「受かりました」とうれしい電話がありました。
病院の正職員の仕事です。
住所は県外ですから書類も整わなかったのに、「がんばりなさい」と優しく声をかけてもらったそうです。
申し訳なさそうに保証人になってほしいと言うので、「私が保証人になったら簡単にはやめられないよ。覚悟しなさいね」と笑いながら答えました。
お世話してくれた方に報告すると「いい子だよね。面接でもわかってもらえたんだと思うよ。私もうれしい！」と喜んでくれました。
経験年数が足りず、本来は受けられなかったのですが、その方が事前に電話で「意欲のあるきびきびとしたいい青年です」と推薦してくれたお陰でした。
多くの方に助けられながら、彼は少しずつ自信をつけて歩み始めています。
「あいあい」から仕事に通い、給料をもらってアパートに移り自立を目指します。
新生活に向けて家具や家電をそろえてゆくのも楽しみです。
＜高知あいあいネット・青木美紀／イラスト・あさみ＞
http://mainichi.jp/area/kochi/news/20121031ddlk39070655000c.html
http://mainichi.jp/area/kochi/news/20121031ddlk39070655000c2.html
高知あいあいネット
【活動内容】
暴力防止支援団体『高知あいあいネット』では、一緒に活動してくれる方を募集しています。
色々な形で参加できます。ぜひ一緒に活動してみませんか?
■ワークショップ補助メンバー
■講演会＆研修会補助メンバー＜準備・運営／広報や会場づくり・受付／アンケート入力・テープおこし＞
■学校に行けない子どもたちへの支援＜勉強をサポートしてくれる方／子どもたちと遊んでくれる方＞
■通信作成や広報補助メンバー
■民間シェルター「あいあいめっせ」のお手伝い＜生活用品の収集や運搬／自立のためのお手伝い＞
■フードバンクのお手伝い＜食料品の確保と運搬／養護施設、高齢者施設、知的障害者施設、母子支援施設、自立支援施設、DV被害者支援、生活保護申請待機者への支援など＞
http://www.pippikochi.or.jp/volunteer/wanted/2010/01/post-44.shtml
アルコール 泥酔 酒 飲酒 離婚 家族 トラブル 酒乱 いじめ 虐め
イジメ 苛め 父親 親 父
口論 喧嘩 ドメスティック バイオレンス ドメスティックバイオレンス
ドメスティック・バイオレンス 暴行 暴力DV dv 依存 依存症 中毒 アル中
アルコール依存 アルコール依存症
毎日新聞 2012年10月31日 地方版
父親は暴力がひどく、お酒が入ると手がつけられません。
母親は、中学生の息子を連れて家を出ました。
しかし、すぐに見つかってしまい、路上で殴られ押さえつけられているところを知人が助けてくれました。
父親は逮捕されましたが、拘置中も「殺してやる」とわめき散らし、安全のために県外へ逃げました。
見知らぬ土地で母親は懸命に働きました。
息子は学校になじめず、いじめのターゲットとなり、学校に行かなくなります。
不登校のまま中学を卒業し高校に進学しましたが、そこにいじめっ子がやって来てあらぬことを吹き込み、他の生徒を巻き込んでいじめが続きます。
耐えかねて突き飛ばした相手がけがをしてしまい、学校は警察を呼び、高校を退学させられた上、保護観察になってしまいます。
それでも彼は通信教育で高校卒業の資格を取り、ヘルパー２級の資格も取って仕事を頑張っていました。
ところが出勤途中にいじめっ子に再会します。
毎朝の電車に乗って来て嫌がらせをします。
仕事に行けなくなり引き籠もってしまいました。
母親は「そんなことでは社会でやっていけない。いつまでもこだわっていないで仕事に行きなさい」と言います。
母親にも理解してもらえず、心の傷は深くなるばかり。「ここにいたら、あいつらを殺してしまいたいという気持ちを抑えられない。遠くに行きたい」と
訴えるので、「いつでもいいから『あいあい』においで」と彼を預かることを提案しました。
迷惑をかけてはいけないと、母親は息子に働いて少しお金をためてから行くように言い、彼はそれに従い仕事に通い始めます。
しかし、そこにもいじめっ子が来て、また仕事に行けなくなりました。
仕事に行っているように見せ、昼は家で過ごしました。
それを知った母は息子をなじります。
息子は「二度と帰らない」と家を飛び出して電話してきました。
「そちらには行けなくなった。行きたかったけどもう何もかも終わりにする」と言います。
「あいつらがいると自分と同じ思いをする犠牲者が出る。自分が死ぬ前に殺すしかない」
「そんなことをしたらお母さんはどうなるの？」というと「母親を殺して自分も死ぬ。誰にも迷惑かけないよう自分だけ死ねばいい」と言います。
「誰にも迷惑をかけずに自殺できると思うの？ 同じような思いをしてる子にも影響を与えるよ。死ぬしかないんだという絶望を与えるんだよ。
他にも犠牲が出るからあいつらを殺してやりたいという気持ちは、同じような子を作りたくないんでしょう？ だったらあなたにもできることがあるよ。
『あいあい』にいらっしゃい」と電話を切りました。
２日後に母親から電話があり、こちらに来ることになりました。
会ってみると素直ないい青年です。
仕事に就いて自立したいというので、紹介状を持って面接に臨みました。
くじけそうになりながらも懸命にトライしていたある日、「受かりました」とうれしい電話がありました。
病院の正職員の仕事です。
住所は県外ですから書類も整わなかったのに、「がんばりなさい」と優しく声をかけてもらったそうです。
申し訳なさそうに保証人になってほしいと言うので、「私が保証人になったら簡単にはやめられないよ。覚悟しなさいね」と笑いながら答えました。
お世話してくれた方に報告すると「いい子だよね。面接でもわかってもらえたんだと思うよ。私もうれしい！」と喜んでくれました。
経験年数が足りず、本来は受けられなかったのですが、その方が事前に電話で「意欲のあるきびきびとしたいい青年です」と推薦してくれたお陰でした。
多くの方に助けられながら、彼は少しずつ自信をつけて歩み始めています。
「あいあい」から仕事に通い、給料をもらってアパートに移り自立を目指します。
新生活に向けて家具や家電をそろえてゆくのも楽しみです。
＜高知あいあいネット・青木美紀／イラスト・あさみ＞
http://mainichi.jp/area/kochi/news/20121031ddlk39070655000c.html
http://mainichi.jp/area/kochi/news/20121031ddlk39070655000c2.html
高知あいあいネット
【活動内容】
暴力防止支援団体『高知あいあいネット』では、一緒に活動してくれる方を募集しています。
色々な形で参加できます。ぜひ一緒に活動してみませんか?
■ワークショップ補助メンバー
■講演会＆研修会補助メンバー＜準備・運営／広報や会場づくり・受付／アンケート入力・テープおこし＞
■学校に行けない子どもたちへの支援＜勉強をサポートしてくれる方／子どもたちと遊んでくれる方＞
■通信作成や広報補助メンバー
■民間シェルター「あいあいめっせ」のお手伝い＜生活用品の収集や運搬／自立のためのお手伝い＞
■フードバンクのお手伝い＜食料品の確保と運搬／養護施設、高齢者施設、知的障害者施設、母子支援施設、自立支援施設、DV被害者支援、生活保護申請待機者への支援など＞
http://www.pippikochi.or.jp/volunteer/wanted/2010/01/post-44.shtml
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